トークンエコノミーの真価
トークンエコノミーとは?
トークンとは?代用貨幣を超えるポテンシャル
トークンは代用貨幣のことと説明されいることが多いですが、そのように制限して考えると、トークンエコノミーのメリットを想像しにくくなってしまいます。トークンは想像力次第で今までの貨幣を超えた価値のやり取りを可能とします。それができるだけの技術が提供されてきつつあるので関心が高まってきているのです。
トークンの起源は、人類最古の文字(楔方文字)の誕生に関わった粘土細工の焼き物(農作物のやり取りの記録、交換手段等に使われていた)です。
トークンエコノミーの文脈で語られるトークンとはブロックチェーン技術により新しい価値の伝達の手段となり得る、今までの貨幣より広い範囲の価値の伝達を可能とする(コピーや改竄が困難な)デジタルデータのことになります。
具体的には仮想通貨とそれから派生する仮想通貨に似た性質のもの
初期のトークンから文字、お金の歴史を経て、約6000年後、再度トークンを、個人や小規模な組織でも技術的に発行可能になってきたのです。約6000年前に人々がそれぞれの思いを粘土細工に刻んでから焼いて固定したように、それぞれの思いをブロックチェーンに刻むことができるようになってきました。
参考:wiki:文字の歴史 青銅器時代楔形文字の項目
(上記から抜粋:最初のシュメール人の文字体系(初期メソポタミア文明)は、日用品や農産物の個数の表現に使われる粘土製の小さな玉「トークン」の体系から派生した。)
エコノミーとは?経済圏と一体
エコノミーとは富(多くの場合お金)とサービスや製品の交換や生産をするシステム全体のことです。そのシステムは、世界でとらえることも、国単位でとらえることもできますが、現時点で例えば世界アニメオタク経済圏は国単位の経済圏ほどは明確には見えてきていません。
トークン+エコノミーで何が起きるのか?
トークンの存在価値は法定通貨で提供できないものを提供できることにあるので、まず法定通貨から見ていきます。
法定通貨、基軸通貨ドル
世界経済は法定通貨を基準に動いてきました。
プレトンウッズ協定
1945年から発行された国際金融協定です。ドルと他の通貨との固定交換比率が定められ、ドルは金との兌換を維持していました。
ニクソン・ショックとスミソニアン協定を経て
1971年から73年にかけて、ドルは金と兌換できなくなり、また他国通貨と変動相場制に移行しました。
既存の法定通貨もかなり危ういものを抱えながら、長期間維持されてきていることになります。
国とそれに伴う法律、軍事力は法定通貨の裏付けとなっています。
例えば、アメリカとイラクの戦争はイラクが石油の決済をドルからユーロに切り替えたことからドルの基軸通貨の立場を維持することが最大の理由だったともいわれています。
その後、大量破壊兵器が見つからないまま当時イラクの最高指導者だったサダムフセインは処刑されたました。戦争の当初の理由であった大量破壊兵器はなかったのです。それらの後からわかってきた事実はこの戦争がドルの価値を維持するために行われた可能性を強く諮詢しているように思われます。
ドルはかなりの無理を続けながらも基軸通貨の立場を今まで維持してこれましたが、現在はさらに危うくなっていることが2018年現在の米中経済制裁合戦の要因になっているように見えます。
法定通貨 日本円 マネタリーベース推移
2008年のリーマンショック時から日本円のマネタリーベース(日本銀行が供給する通貨)は約6倍になっています。
全ての価値は希少であることが必要条件ですから、法定通貨の価値は既に落ちているようにも見えます。インフレが起きてないのは、今の法定通貨で買いたいもの、投資したいものが見当たらなくなってきているからではないでしょうか?
例としては、富裕層の中にも服はユニクロで十分という人もいます。必要以上にお金を使うことと幸福感が連動しないことを富裕層の方が実感してきているようです。
同時期にユーロ、ドルもマネタリーベースを数倍にしています。
ビットコインの論文は2008年に提出され2009年から運用を継続しています。背景にはリーマンショックでの法定通貨へのアンチテーゼがありました。
マズローの5段階欲求と通貨
現代は物質的には満たされながら精神的には満たされてない人が増えてきました。それをマズローのモデルで考えてみます。
マズローによると、人間はこの図の下の欲求が満たされると上の欲求を満たしたくなるそうです。
法定通貨は生理的欲求、安全欲求は満たすでしょうが、社会的欲求、尊厳欲求と自己実現欲求は本質的には通貨で満たされるものではないのではないでしょうか?
尊厳欲求や自己実現欲求に少しでも答えることのできるトークンがあったらどうでしょう? そのトークンを買って、そのトークンが作り出すコミュニティーに参加したいと思うのではないでしょうか?
多種多様なトークンが発行されて、それが国、地理的は距離、性別、年齢を超えて、連帯感を得られるものなら、そのトークンがつくりだすエコノミーは発展するのではないでしょか?
そして、今までの法定通貨が、例えばグローバル企業であれば、ドルをどれだけ集められるかでビジネスの価値を判断されることが今までよりも色あせて見えてくるのではないでしょうか?
トークンエコノミーとその具体例のためのKUMAとMAIのチャット
この記事のためのKUMAとMAIのチャットにトークンエコノミーに親しみと理解を持ってもらいやすい部分があったので、それを掲載します。このチャットから既にトークンエコノミーを体験しているMAIが現在どんな感想を持つようなったかが素のまま言葉になっています。
トークンは単にお金の代替貨幣ではなく、それを超えた自分が大切と思う価値を共有、交換するためのものとして機能し始めている、未来はよりそれがひろがればよいと彼女が感じ、考えていることがわかります。
このチャットでMAIが「MED」「MEDX」と言っているのはメディブロック社のトークンです。この会社については以下の2記事で触れています。
健康について真に価値がある情報(その評価方法も考えられています)を提供した人でこのメディブロックのトークンエコノミーに参加している人にはこの「MED」「MEDX」が与えられるように設計されています。またこの「MED」「MEDX」をもっていれば、健康について真に価値ある情報を得ることや、自分の医療情報を、自分が治療を受けたい病院にのみセキュアに開示することができます。
彼女は身近な人が病気や障害で苦しむことに接したことが多いらしく、健康がお金を超えた価値があることをよく理解しているのでしょう。
だから、この健康にプラスになるトークンを大切な人にあげたいのでしょう。健康はお金を超えた価値を持っていますが、法定通貨にはそれに基づいた行動を忠実に促すような効果はありません。逆に健康に悪いアルコール度数の高いお酒の広告にお金が使われています。
ブロックチェーン以前に..命に直接関わる医療の問題について考えてみた。
水島洋先生も緊急講演!ヘルスケア X ブロックチェーンミートアップ
トークンエコノミーの具体例
上記のメディブロックは医療、健康におけるトークンエコノミーの具体例でした。
PoliPoliは政治に関するトークンエコノミーです。
政治については、既存のメディアから、批判ばかりで建設的な意見があまり見られないことに、危機感を持っている人がいます。
政治も、安全保障と平和維持は命に直接関わってくるものです。世界の政治の動きのほとんどは、経済と安全保障の2つから説明することができます。
日本においては、残念ながら突飛な批判を行うことで売り上げを伸ばしたいマスメディアは自社の利益を優先するあまり、安全保障についてはまともに論じられないことが多いようにもみられます。
PoliPoliは真に良い政治に対する提案を行った人でこのトークンエコノミーに参加している人にはPolinという彼らのトークンを与えるという設計をするそうです。
PoliPoliのβ版発表イベントでは、次期総理候補ともいわれる石破さんが講演しました。
国民民主党共同代表の玉木共同代表もパネルディスカッションに参加していました。(一緒に写っている19歳の若者がPoliPoliのCEO伊藤さんです。)
健康、政治は本来お金以上の価値をもちながら、法定通貨を通じてそれを改善する方向への行動を促すことが難しい分野でした。
この分野にトークンエコノミーを活用することで、自分もそれをより良くするための参加者としての意識とそれに対する報酬を与えるシステムが作られようとしています。
VALU、個人の価値のトークン化と市場提供のトークンエコノミー
KUMAもMAIもVALUに上場して、自分のVALU(トークン)を発行しています。私(KUMA)はMAIのVALUを買っています。これも彼女と一緒にこのKUMAI.tokyoというメディアをやる一つのきっかけになりました。 自分をトークンとして発行することは、面白く、最初はちょっと勇気もいりました。またVALU上がると嬉しく、下がるとがっかりしたり、いろいろな経験ができました。
私の場合は、自分に価値がないという思いに苦しみながら、ひょっとしたら価値あるかもしれないからそれをためしてみようという気持ちが強かったです。結果、自分のVALUを買ってくれる人もでてきてきて、本当に嬉しかったです。
また、他の上場者を見ると色々気づかされることがあります。
有名人は、最初は高めにVALUの価格がつくのですが、そこから落ちていくことが多いです。
逆に、無名の人の中から、誠実な意見を述べたり、共感を得る意見を述べたりすることで、自分のVALUを上げていく人たちが出てきています。
これらから、トークンエコノミーの時代には、個人の価値は再定義、再評価されることになると予想されます。
個人がトークンエコノミーの世界で自分の価値を信じて生きていくとは、ある意味、全ての人が自分をタレント化していく時代となるのだと思われます。
トークンエコノミー法と仮想通貨
トークンエコノミー法とは以下ことです。
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主に、特別支援教育において、障害のある子どもに対して行う療法の一つで、子どもがある望ましい行動をした際に、
物品などの「ごほうび(トークン)」を与えるという方法のこと。これにより、子どもがその望ましい行動をより頻繁に行うようになる心理学的効果があるとされている。
具体的な例として、子どもがお手伝いをした際などに、シールやお菓子などを決められた個数渡すなどの事例を挙げることができる。
ここでいう”ごほうび”(トークン)を仮想通貨や仮想通貨から派生して作成可能な、特定条件だけで付与されるデジタルで特殊な”ごほうび”により、世界をより良いものにしていこうという思いが、トークンエコノミーの根底にあります。
世界は、特別支援が必要なほど、今、変革を必要としている状態にあり、その支援に使える道具が、そろってきたとも考えられる。
それが今のトークンエコノミーへの大きな流れを作り出してきています。