コンテンツ価値化トークン:Steemit, ALIS, PRIMAS 注目の3つのプロジェクトをサービス比較!
Primas CTOとMaiの写真
ブロックチェーンと仮想通貨を利用することで、広告等に左右されないより信頼性の高いコンテンツを増やそうというサービスが複数出てきています。
背景には以下のことがありそれぞれが相互に関係しています。
既存コンテンツの問題
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ネット上のコンテンツの信頼性が落ちていること。
(パクり放題であること。例DeNA事件 http://jinsei.me/dena-welq/ )
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個人ブロガーが良心的な記事で利益を得る手段が限られていること
(上記や、炎上ブロガーがアクセスを集めやすいこと等)
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読者もつい刺激的なだけでくだらない記事を読んでしまう傾向があること
このままでは、ネット上のコンテンツにはノイズが増え続け、まともなコンテンツを作ることへの対価をさらに得にくくなりかねません。
その改善を仮想通貨とブロックチェーンを利用して行おうとしているサービス3種類を紹介します。
それぞれ、コンテンツ作成者に広告によらない報酬を与える仕組みが用意されているので、より多くの人が個人で稼げる場が広がる可能性を秘めています。
歴史が長いプロジェクトから説明していきます。
1Steemit
概要
Facebookで記事に ”いいね”をつけるのと同様に ”vote (投票)”をすることができます。
それにより、Steemという仮想通貨の収入が発生するというサービスです。
構造
独自ブロックチェーンを持ち3種類のトークン(仮想通貨)が用意されています。
a.Steem
コンテンツに投票した時に利用されるトークン(仮想通貨)
b.Steem power
半年間は売却できないトークン(仮想通貨)この保有量に応じて、Steemit内での投票権の強さがきまります。Steem powerが高い人に投票されると より多くのSteemがもらえます。
Steem powerの高さとコンテンツの質の判別能力は連動しているとはかぎりません。
半年間売れないことやその意味付けは、Stockオプションを連想させる機能をもっています。
c.Steem dollar
US$に連動するように運用されているトークン(仮想通貨)です。実際には大きく乖離することもありますが、そのように実体経済と連動する価値を提供し要としたものと思われます。
Steemitの特徴
a.Passwordの管理が完全に自己責任となっている。紛失したら再発行されないでそれっきり自分のアカウントでもログインできない。 これは自分のアカウントと自分のアカウントで投稿されたコンテンツの所有権が完全に自分のものであり、その管理責任も任されているということでもある。
つまりは、パブリックブロックチェーンの仮想通貨のように自分のコンテンツを扱う必要がある。管理者すら自分のアカウントとコンテンツを消すとことができない。
b.SteemitPowerの数値が高い人から自分のコンテンツに投票(vote)してもらうことが自分への報酬を大きく左右します。投票してくれたユーザーのSteemPower に応じた総和が報酬となっています。
良いコンテンツを書いても報酬を得られずに去っていく人もいれば、うちわネタで報酬を得る場合もあり、そこにコンテンツの質との連動がなくなってきているのでは?と懸念される声も。何をもって良いコンテンツとみなすかは、評価者によっても違うので、微妙な問題を含んでいます。
FBの”いいね”の数とコンテンツの質が必ずしも直接的に連動していません。それに類似した方法に報酬のやり取りを発生させたことからも推測できます。製品の作りに起因したコンテンツの質と報酬の連動性への疑問という問題を抱えています。
d. SMT (Smart Media Token)
Steemitのために使われている、ブロックチェーンの仕組みを、Steemit以外のメディアでも利用できるようにする機能です。
e.投稿から一週間たつと編集も追加の報酬をもらうこともできなくなる。
長所:Steemitブロックチェーンが続く限り、自分の作ったコンテンツがそのまま残される。Steemitの独自ブロックチェーンは実際に稼働しているパフォーマンスの高いブロックチェーンのためSMTが成功して展開が大きく広がる可能性もある。
s短所:情報の更新ができない。削除もできない。あとから削除したくなる内容とならないか注意しながら書く必要がある。また良い記事は長期間のリライトの継続や、批判を恐れながらも勇気をもって書くことがほとんどであるが、それができない。日本語化が一部しかなされていない。
2ALIS
創業メンバーは日本人3人。Steemitから着想を得ています。元々Steemitユーザーとして収益が得られたことの感激したことが始めるALISを始めるきっかけだったどうです。
多くの点でSteemitに似ています。以下に相違点をあげます。
技術的な相違点
a.トークン(仮想通貨)をALIS一種類にしてある。(Steemitは3種類)
b.日本人3人の創業者のため当初より日本語化されている。(Steemitは英語のまま。また英語の記事を書かないと報酬も少ない)
c.コンテンツはブロックチェーン上には置かれてないらしい。(それにより編集リライトがしやすいのであればそれにメリットを感じるユーザーも多い。)
d.創業者メンバーのコミュニティー育成へのモチベーションがとても高い。それがうまく機能している。
e.ALISのAPIを公開することで外部のメディアでもつかってもらえるようにすることも計画中
コミュニティー運営上の相違点
ALISはβ版公開イベントを大々的に開催しました。
この分野での日本人による日本初のプロジェクトとして、より活発なコミュニティー運営を開始しています。
良いコンテンツライターを集めるという必須要素について積極的な活動が行えてます。
写真はそのイベントでのパネルディスカッションの様子です。
ALISは日本初の日本人によるサービスでコミュニティーとして、少なくとも日本語圏では活発に記事の投稿がされています。
ALISのCEOの安さんも好青年で周囲からの協力を引き出しやすいように見えました。コミュニティーが成功の重要な要素になるので、周囲の協力を得やすいリーダーは今までの会社社長以上に貴重な資質です。それに会っている方にお見受けしました。
3PRIMAS
DTCP(Decentralized Trusted Content Protocol:)
(2018年6月1日からiOS用は正式版を海外でリリース(日本でのICO規制の観点から)アンドロイド版は近日公開となっている。
SteemitやALISがより信頼性の高い記事の集まるメディアを構築するところから始まっているのに対して、PRIMASではDTCP(Decentralized Trusted Content Protocol:分散型トラストコンテンツプロトコル)の利用を最初から前面に打ち出しています。
Steemitに置き換えればSteemitの前にSMT(Smart Media Token)を前面に出しているかのようにです。
ただ、Primasのやりかたはより抜本的で包括的です。
既存のコンテンツ・エコシステムに信頼性をあたえるためにインターネットの上に新しいレイヤーを構築しようとしています。
そのためにコンテンツはブロックチェーンベースのインフラストラクチャに置き、分散型トラストコンテンツプロトコル(DTCP)という新しいプロトコルを用意しその利用を呼び掛けています。
DTCPの目的
コンテンツ業界全体で利用されるコンテンツが備えるべきデータの標準になることです。
そのデータには
パブリッシュ時間、作成者の詳細、オリジナルのコンテンツハッシュなどのプロパティが含ままれす。
現在、既にアクセスの多いドメインで、他のサイトからコンテンツをコピーして持ってきた場合さらに複数のサイトから、その検索語にあったコンテンツを集めて整理した場合、コピー元のサイトより検索結果の上位に表示されますが、それがこのプロトコルを利用すると改善されると予想されます。
また海外では既に、Primasが用意したDTCPを利用するメディアやウェブサイトが増えつつあります。
PRIMASメンバーとのエピソード
PRIMASの日本責任者の王さんとお話したとき、以下の言葉が特に印象的でした。
「私たちはインターネットのコンテンツをより健康にしたいのです。」
「PRIMASのCTO(CEOだったかも)はFacebookのザッカーバークにもまけません。AIも含めて今後の開発に必要な知識も既に持っています。」
筆者(クマ)はマイクロソフトの初期やネットスケープにもいたのですが、これに似た言葉、自分達の技術で世界をより良いものにしたいということを素直に信じた言葉を久しぶりに聴いたので印象的だったのです。
逆に、これだけの仕組みでは言論の自由が保証されてくるでしょうから、一党独裁体制の中国でサービスを継続できるのか心配になり、それを聴いたところ
「大丈夫です、会社はシンガポールに設立してありますから」とのことでした。
30年以上もIT業界に関わってきた私には、一番エキサイティングな場所がシリコンバレーから中国に移動したのだろうなと実感させられる出来ことでした。
Steemit ALIS PRIMAS 比較表
Steemit | ALIS | PRIMAS | |
独自メディア | △ | △ | △ |
オープンプロトコル | 〇 | △ | 〇 |
コミュニティー運営 | △ | 〇 | △ |
外部コンテンツへの応用 | △ | 計画中 | 〇 |
コンテンツ信頼性 | △ | △ | 〇 |
◎KumaとMaiが使ったら・・・?!
KUMAとMAIは、よく写真の差し替えや誤字の修正を行うので、例えば記事を書いたら一生修正できないのは困るかも?
と話しました。 Steemitはブロックチェーンとしての特徴をコンテンツにも厳格に適用しているため(消せない!! 変更もできない!!)が、
Alisはコンテンツの編集は継続できますが、ブロックチェーンの適用がコンテンツにはなされてないようにみられます。
例えばリライトが出来ないというのは使ってみてメリットデメリットが明確になりました。
Primasはブロックチェーンをコンテンツ信頼性プロトコルの構成に使っているので、上の二つとは根本的に違う方法となっています。
因みにKUMAはMAIの誤字が多くて困っている。σ(・ω・*)んと…
予想
仮想通貨とブロックチェーンをコンテンツの信頼性の向上に活用するという当初の目的に回帰してくるだろう。
閉じられたコミュニティーとメディアの中では優良で魅力的なコンテンツは生成されてこない。
そのためオープンに仮想通貨とブロックチェーンによりコンテンツエコシステムを構築する仕組みを広めることになるだろう。
SteemitでのSMT, PRIMASでのDTCPをALISの計画中のAPIをいかに外部に広められるかがポイントになるだろう。ALISには活発に記事投稿もされているので、ALISがSMTやDTCPを活用するという可能性もあるように思われる。